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80年代貸ビデオ屋さん事情

80年代貸ビデオ屋さん事情のイメージ画像

80年代前半、ホームビデオが普及しかけた頃の、
初期レンタルビデオ事情について語ります。
ビデオバブルに伴うホラーブームの中、
それまで観ることが出来なかったような珍しいホラー映画が、
町のビデオ屋さんに続々並び始めた頃のリアルな思い出話です。

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高級品!ビデオデッキとビデオテープ

ベータやVHSなどのビデオデッキを一部の家庭が所有し始めた70年代末~80年頃、
その価格はアナログ音声の機種でも20万円台半ばから30万円位しました。
録画用の生テープも定価で1本5千円位(量販店で3千円位)。
(大卒初任給が11万円位)

当時、映画ソフトは国内版のタイトルが全然出揃わず、
輸入版が主流で、1本3万円位しました。
国内では東宝の「ゴジラ」が1本5万円。

我が家は自営業で多少余裕があったため、
映画監督志望の私の我がままが通り、
東芝のベータのモノラルデッキをかなり早い段階で購入して貰えました。
とはいえ用途はテレビ録画のみ。

輸入版ショップの映画ソフトカタログを眺め、
「欲しいなあ、でも高過ぎてとても買えない・・・」
なんて思っていたんですが・・・
「欧米ではレンタルが主流」
という情報がビデオ誌等で伝えられるや、
日本でも小さな個人経営の貸しビデオ店が町なかに現れ始めました。

昔のレンタルビデオ・イメージ画像「エイリアンデッド」VHS。

ゾンビ映画「エイリアンデッド」VHS。

高額なレンタル料、違法店も多数

私が初めてビデオソフトを借りた店は、
東京郊外のターミナル駅前の雑居ビルの一室。
1階の入り口前に、
「貸ビデオ・ダビング」
というのぼりを発見。
狭い階段を昇り恐る恐る入店すると、
狭い店内のカウンターの中に怪しいオタク風の店員が1人、
ビデオデッキ数台でダビング作業をしています。
3~4人も入れば一杯の店内には先客が2人、
棚に並んだ少ないビデオソフトのケースを眺めています。

ホラーのタイトルが多めでしたが、
それでも10数本程。
つまり商品棚はスカスカでした。

私が取り敢えず手に取ったのは、
「悪魔のオペ」のベータのテープ。
「1,400円」という手書きの値札が付いています。
ケースの中は空のようでした。
すると店員が、
「それはまだ入れてないんですけど、ダビングなら出来ますよ」
と声をかけて来ました。
壁に貼られた料金表を見ると、
デッキ使用料30分毎1,000円と書かれています。

私はその店のシステムをだいたい理解しました。

値札は1泊2日のレンタル料金。
だいたい定価の1割ほど。
貸し出すのはコピーテープ。
自分用にコピーして貰うには、
テープ代2,000円(位)+30分1,000円×収録時間。
(コピーやダビングと言うと違法なので、あくまでもデッキ使用料)

私が「悪魔のオペ」を棚に戻し、
別のソフトを手に取るとまた店員が、
「それは○○駅前店にあるんで明日の午後には入りますよ」

近くの大きな駅前にチェーン店が2店あり、
計3店舗経営しているらしく、
購入したビデオソフト1本から、
ベータ3本、VHS3本、計6本コピーを録り、
各店舗で貸し出しているようでした。

コピーテープを貸し出して1泊1,500円から2,000円。
2時間の映画をダビングして4,000円+テープ代2,000円。

けっこうな良い商売をしてました。

私は親に買って貰ったベータのデッキの他に、
アルバイト代でVHSのデッキも購入していたので自分でダビング出来ました。

結局その日は、
「スキャナーズ」のVHSを1,200円ほどでレンタル。
パッケージも何も無い普通のテープで、
ラベルには「スキャナーズ」と手書きされているだけ。
自宅で再生してみると、レーザーディスクからのコピーでした。
あともう1本。
「ザ・キープ」も借りましたね。
日本では「13日の金曜日 完結編」と併映だった作品。
こちらはVHSからのコピーで、
確かパッケージも付いてました。
白黒のコピーでしたが。
レンタル料は1泊,1,000円から1,500円位だったと思います。

昔のレンタルビデオ・イメージ画像、 「ゴア・ゴア・ガールズ」VHS、貸し出し札付き。

「ゴア・ゴア・ガールズ」VHS、ショップの貸し出し札付き。

個人経営レンタル店全盛の時代へ

それから2~3年後、80年代半ば頃。
日本国内のビデオレンタル事情は激変していました。
急速に低価格下が進んだビデオデッキはあっと言う間に普及。
どこの駅でもレンタルビデオ店が1件はあるような状況に。

ある日の午後、友人宅でホラー映画のビデオ鑑賞会をすることになり、
私は自宅近くのレンタルビデオ店へ出向きました。
友人のリクエストはG・A・ロメロ監督の「クリープショー」。
店の棚に目当てのタイトルはすぐに見つかりましたが、
VHSしか置いていません。
友人宅のデッキはベータ。
自宅でダビングするにも、ちょうど午後からテレビ番組の録画予約でデッキは使用中。

「ベータはありませんか?」
と店の主人に尋ねると、
「ベータはまだ置いてないんですけどダビングなら出来ますよ」
と、昔どこかで聞いたような回答。
料金表を見ると、ありました、「デッキ使用料」。
1時間まで1,200円。
30分追加事に600円、
+テープ代、
そんな感じでした。
テープが確か1,000円~1,500円位。
量販店で3本2,000円台位の頃なので多少割高。

3,000円越えか。
しばし考え込む。
ま、仕方がない。
「お願いします」
と頼むと、店主が、
「通常のダビングで良いですか?ダビングしてお貸ししましょうか?」
と聞いてきました。
VHSからベータにコピーしたテープを貸し出してくれるのですと。
1泊2日で確か1,000円位。
コピーテープに3~4千円払うより全然安い。
明日の返却までに安いテープに自分でダビングすれば手元にも残るし。

「じゃあ、2時間位したらまた来てください」
とのことで、時間を置いて再度来店。
すると、カウンター内で店主が「クリープショー」を鑑賞中でした。
「ちょっと待ってくださいね。もうすぐ終わりますから」
カウンターの上にはスコッチのビデオテープのケースと、
店主が手書きしたタイトルラベルが。
ちょっと怖そうに歪めて書かれた「クリープショー」。
その文字からは、赤いマーカーの血が滴っていました。
ダビングが終わると店主はテープを取り出し、
自分で書いたラベルを満足げにペタっと貼り付けると、
レンタル用の青い袋に入れて手渡してくれました。

このコピーテープ、1泊借りて1,000円。
そんな大らかな時代でした。

ちなみにその数年後、
その小さなレンタル店の真向かいに大型店が出店。
週末3泊4日3本1,200円という、
当時としては破格のレンタル料金で客を集め、
手書きラベルのお店も値下げして随分頑張ってましたが、
気付けば閉店していました。

昔のレンタルビデオ・イメージ画像、 「ビーイング」VHS。

「ビーイング」VHS。

そして今やサブスク全盛の新時代

その後はTSUTAYAやDORAMA等、
大型チェーン店の時代になりますが、
今やレンタル業界も斜陽で閉店の嵐。
自宅でいつでも定額観放題のサブスク全盛となりつつありますが、
あの不便なコピーテープ1泊1,000円の時代が、
時折懐かしくも思えます。
なんか映画1本の価値、
映画を1本観るというイベントの価値って、
時代をさかのぼる程、大きかったと思います。
不便な時ほど有り難みが判るものなんですね。

昔のレンタルビデオ・イメージ画像、ホラー映画VHS3本。

ホラー映画VHS3本。

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