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ゾンビ映画3大名作③ 元祖憑依型ゾンビ「死霊のはらわた」

ゾンビ映画名作死霊のはらわたイメージ画像、山小屋

人は喰わずにひたすら襲う!憑依型ゾンビ映画の元祖。若干21歳のサム・ライミが描く、不死身のゾンビとの血みどろバトル!「死霊のはらわた」について詳しく解説いたします。

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概要~「死霊のはらわた」はこんな映画!

「死霊のはらわた」(THE EVIL DEAD)
 1981年 アメリカ 86分(日本劇場公開時)サム・ライミ監督

21歳サム・ライミのプロ・デビュー作

 後にハリウッドの人気監督となるサム・ライミが21歳当時、ミシガン州立大学の仲間たちと製作した16ミリフィルムのインデペンデント作品。原型となる78年製作の8ミリ・ホラー映画「Within the Woods」が好評を得たのをきっかけに、地元の歯科医師らから少額ずつの出資を引き出し製作。公開時には35ミリ・フィルムにブローアップして上映された。

体育会系スプラッター!

 化け物と化した仲間たちとの血みどろのバトルをひたすらハイテンションに描く、それまでに無かったタイプのゾンビ・ホラー。中盤以降はグロ描写のオンパレードとなるものの、とことんやり尽くすその姿勢にはスポーツ感覚なノリがあり、さほど陰惨な印象は受けない。アマチュアならではの手作り感あふれる特殊効果も楽しく、インディーズ・フィルム界に大きな影響を与えた。80年代製スプラッター・ムービーの代表作。

ストーリー

 山小屋を訪れた若い男女5人が、地下室で古い書物とともにテープレコーダーを発見。再生してみると不気味な呪文が流れ始める。実は山小屋の持ち主である考古学者が、書物に記された古代の呪文を解読し録音していたのだ。やがて呪文によって眠りから呼び覚まされた邪悪な存在が、若者たちに次々憑依。友達、恋人、そして兄妹が、狂ったように凶暴化しては襲い掛かってくる。

8ミリ映画 「Within the Woods」

ライミ+キャンベルの原点

 ミシガン州立大学在学時のサム・ライミが学生仲間と撮った32分の8ミリ映画「Within the Woods」が地元の自主上映で好評を博し、これが後の「死霊のはらわた」製作の布石となる。監督・脚本のライミはもちろん、主演のブルース・キャンベル、エレン・サンドワイズ、製作のロバート・タパート、特殊メイクのトム・サリヴァンら、主要メンバーはそのまま「死霊のはらわた」へ引き継がれている。

はらわたシリーズの原型

 内容はスケール小さめな「死霊のはらわた」といったところ。土中から古い剣を掘り出したブルース・キャンベルがゾンビっぽく変貌、森の中の一軒家で友達や恋人に襲い掛かるというお話。「死霊のはらわた」や「死霊のはらわた2」を想起させる演出が多数見受けられ、まさにシリーズの「原型」といった印象のショートフィルム。
 8ミリフィルム作品にありがちな編集の甘さもあり、粗削りではあるものの、製作時期を考えると、かなり本格的な仕上がりの自主映画だった。

ついに製作スタート

低予算のため16ミリで撮影

 かくして「死霊のはらわた」は製作の運びとなる。予算は歯科医師ら小金持ちから集めた35万ドル。劇場用映画はフィルム撮りが原則だった当時としては低予算であり、撮影には16ミリフィルムが使用された。また、予算の内かなりの額が、ロケ場所である廃屋までの山道の整備費に当てられたという。

シェイキーカム

 移動撮影には当時映画界で注目されていた手振れ補正カメラ、ステディカムを使用したかったもののまだ高額で叶わず、シェイキーカムと名付けた独自の手法を考案。木材にカメラを取り付け、両サイドを2人のスタッフが持って走るという、言うなれば苦肉の策だが、日本公開時には新しい撮影技法として宣伝に使われていた。ちなみに当時は日本の自主映画製作者の間でも、出前のおかもちを改造するなど、似たような擬似ステディカムが色々と考案されていた。

日本初紹介は「旧・日本版スターログ」

パリ国際ファンタスティック映画祭出品

 日本国内で「死霊のはらわた」と言うか「THE EVIL DEAD」が初めて紹介されたのは、日本版スターログの、第12回パリ国際ファンタスティック映画祭リポート記事の中であったと思われる。その時のタイトル表記は「エビルデッド」。悪霊に憑依された人間が切り刻まれ肉片になってもまだ蠢いている点などを取り上げ、若者らが作った凄まじいホラーとして紹介していた。また記事の中では、若い製作陣が自分たちの作品が果たして世界で通用するか不安がっていた様子なども伝えていた。この映画祭で「THE EVIL DEAD」は審査員特別賞と観客賞を受賞している。

「イーヴル・デッド」

 その後「THE EVIL DEAD」はスティーブン・キングが絶賛したホラーとして注目を集め、日本でもビデオ誌の未公開映画特集などでよく紹介されるようになる。輸入版ビデオも出回り「イーヴル・デッド」の呼び名で国内でも徐々にファンを増やしていった。

日本初公開当時の様子

スプラッタ(ー)国内コピー初使用

 そして日本国内がホラー・ビデオ・ブームに沸いていた1985年2月「THE EVIL DEAD」は「死霊のはらわた」として初公開の時を迎える。内容を端的に言い表したこの秀逸な邦題に加え「これが問題のスプラッタ・ムービーだ!」と、当時ホラー・ファンの間で流行っていた「スプラッター」というワードを日本国内で宣伝コピーに初使用し話題を呼んだ。
 テレビで放映された予告編では、コマ撮りアニメによるローテク顔面崩壊映像をモロに見せ、その異様さが高度な特殊メイク全盛の時代にかえって斬新な印象を与えた。

ホラーファン絶賛

 作品を初めて観たホラーファンからは絶賛を持って迎えられた。中でも手作り感あふれ過ぎな特殊効果の人気が高く、ホラー専門誌「Vゾーン」の人気投票特殊メイク部門では、リック・ベイカーやトム・サビーニら大御所を抑え、トム・サリヴァンが見事1位に選出されている。
 ただし、とっくの昔に輸入版ビデオで作品を楽しんでいたホラー・ファンからは「ああイーヴル・デッドね。今頃騒いでるんだ」といった、ちょっとひねくれた反応もあった。

一般映画ファンの反応

 一方、特にホラー好きでもなく、16ミリと35ミリの違いなど何のことか分からない普通の映画ファンからは「面白いけど映像が汚い」「映画館よりビデオで観るべき映画」などという意見も聞かれた。予算の都合で現場のカメラ内で処理した合成映像のズレなどが、スクリーン上でかなり目立ったためと思われる(通常はオプチカルと呼ばれる後処理できれいに合成できたが費用は高額)。

続編あれこれ

2本の劇場版続編

 87年に「死霊のはらわたⅡ」、92年に「キャプテン・スーパーマーケット/死霊のはらわたⅢ」と2本の続編が劇場用映画として公開された。「Ⅱ」は1作目をプロの仕事でスケールアップしてリメイク、コミカル度もアップした陽性なホラー。「Ⅲ」では物語の世界観、作品の規模ともに大幅にスケールアップ、コミカル度もコメディの域まで到達し、もはやホラーではないヒロイック・ファンタジーとなっている。

拡がるはらわたワールド

 他、「死霊のはらわた」ワールドはゲームやコミック、ミュージカルと様々なメディアに展開、2013年にはサム・ライミ、ブルース・キャンベル、ロバート・タパートが製作を担当したリメーク版も公開された。

勝手にシリーズ化

 また日本国内のビデオ業界では「続・死霊のはらわた」「新・死霊のはらわた」「死霊のはらわた最終章」などなど、無関係な作品を買い付けては、タイトルだけで勝手にシリーズ化している。「デモンズ」などでも見られる続編商法である。

本家続編スタート

 そして2015年、ブルース・キャンベルがアッシュを演じる正式なシリーズの続編「死霊のはらわた リターンズ」(Ash vs Evil Dead)がテレビ・シリーズとして製作・放映された。日本では2016年、Huluにて配信スタート。

影響作

 「死霊のはらわた」に影響を受けた作品は、「デモンズ」「ブレインデッド」などのメジャーな作品からインディーズまで世界中で数知れず。死霊の主観映像やゾンビの崩壊など、演出手法レベルの影響作まで含めれば、その裾野の広さは把握のしようもない。
 以下は「死霊のはらわた」からの影響が顕著に見て取れる作品。
「インディアン・ゾンビ 死霊の詰合わせ」(85年、アメリカ)
「悪霊たちの館 呪われたハロウィン・パーティー」(87年、アメリカ)
「ゲロゾイド」(88年、イタリア)
「スローター 死霊の生贄」(04年、アメリカ)
「地獄の血みどろマッスルビルダー」(09年、日本)
他、多数。

「死霊のはらわた」の魅力 

突き抜けた映像表現

 表現の自由度の高さ、これに尽きるのではないか。カメラワーク、特殊効果、音響、演技、その他あらゆる演出において、枠にはまらない突き抜けたセンスとパワーを感じさせる。型通りなメジャーの作品には無い映像表現の楽しさがある。それは自主映画にありがちなルール無視のデタラメではなく、基本を踏まえた上でやっているので、映画の表現としてちゃんと成立している。

手作り特殊効果で何でも実現

 特に特殊効果。予算は無い、技術レベルも高くない。それでも妥協せず、ごまかさないでイメージ通り全て見せるという姿勢が素晴らしい。CGも使えない時代に、最高にファンタスティックな映像を作り上げている。フリーハンドで作ったと見られる切断用の生首を見て「ダミーヘッドって役者の顔から型取りしなくてもいいんだ」と目からウロコが落ちたのを思い出す。ゾンビ崩壊のコマ撮り映像の中に、一瞬スタッフの手が写り込んでいたりと、正直粗も目立つものの、そんな些細なキズを吹き飛ばすだけのパワーがある。

純粋な恐怖映画

 2作目以降、主人公の性格はいい加減さとふてぶてしさを増し、内容的にもコミカルな要素が増えて楽しいホラーとなってゆくこの「死霊のはらわた」シリーズ。ただ、この1作目の時点では主人公アッシュもまだ普通の男であり、コミカルな要素も、ゾンビの人をおちょくる性格くらいに抑えられている。残酷描写も元祖スプラッターの名に恥じない徹底ぶり。つまりこの「死霊のはらわた」第1作は、シリーズ3作中唯一の純然たる恐怖映画なのである。にもかかわらず、のびのびとした自由な映像表現が楽しいこの作品には、一種の爽快さがあり、鑑賞後陰鬱な気持ちにならない。
 この上なく残虐で恐ろしく、それでいて楽しく爽快。そんな貴重なホラーが「死霊のはらわた」なのである。

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