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ゾンビ映画の隠れた名作「ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ」

「ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ」イメージ画像。

 ナチスドイツが開発した水陸両棲ゾンビ兵士がやたら格好良い!東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放映され話題を呼んだホラー映画「ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ」について詳しく解説しています。

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解説「カリブゾンビ」はこんな映画!

「ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ」(原題 SHOCK WAVES)
(テレビ放映題「東カリブ魔の海域 謎の大型クルーザー遭難」)
 1976年 アメリカ 86分 ケン・ウィーダーホーン監督 ピーター・カッシング ルーク・ハルビン ブルック・アダムス ジョン・キャラダイン出演

 後に「バタリアン2」を手掛けることになるケン・ウィーダーホーン監督の、派手さの無い抑えた恐怖演出が印象深いホラー映画。
 カリブ海の孤島を舞台に、第二次大戦中ナチスドイツが開発したゾンビ兵士の一団が、海難事故で漂着した遭難者のグループに襲い掛かる。
 軍服に身を包みゴーグルを装着、無表情で颯爽と歩く水陸両棲ゾンビ兵士たちがターミネーターのようで格好良く、テレビ放映後ホラーファンの間で好評を得る。
 往年の怪奇映画スター、ジョン・キャラダインが出演しているが、最初の犠牲者となり早々に退場。また、英国ハマープロのドラキュラ・シリーズでおなじみの名優、ピーター・カッシングがナチの将校役を熱演。ヒロイン役は本作の翌年にもホラー映画「SF/ボディ・スナッチャー」に出演するブルック・アダムス。
 日本では劇場未公開で、テレビ放映とビデオソフト発売のみ。DVD未発売(2016年12月現在)

「カリブゾンビ」ストーリー

 第二次世界大戦中、ナチスドイツは死体を改造して不死身のゾンビ兵士を開発していた。その水中戦闘用の部隊を、上官であるナチの将校が、カリブ海の孤島の沖あいに貨物船ごと沈める。凶暴で制御不能になったからだ。
 30年後、地殻変動で貨物船が海上へ浮上。復活した兵士達が島にやって来る。
 同じ頃、観光ボートの故障により遭難した男女数人が島へ上陸。1人ずつゾンビ兵士たちに殺されてゆく。

「カリブゾンビ」ここが魅力!

立ち姿も凛々しい軍服のゾンビ兵士たち

 ナチス親衛隊の制服に身を包んだゾンビ兵士たちがとにかくカッコ良く魅力的。水中でも決して泳がず海底を闊歩するその姿はどこか優美ですらあります。
 水中から静かに現れるときの不気味な存在感。突然視界に姿を現わすときの颯爽としたいで立ち。ゴーグルで目元を隠し口元をきつく結んだままツカツカと歩み寄る感じは、ゾンビというより後のターミネーターのようです。
 狙った相手の背後から静かに歩み寄り、うむを言わさず水中へ押し込む殺しの手際の良さ。画的に地味ながらやはり格好良い!
 通常のゾンビのような食人や感染の恐怖はありませんが、遠くの木陰から無言で狙いを定めている姿や、列を成してスーッと水中に消える様はなかなかの不気味さ。静かな恐怖を醸し出しています。

流血無しのショック・シーンがスマート

 この作品、劇中大勢殺されるにもかかわらず、派手なスプラッター描写などは一切ありません。水中にサッと引きずり込み、静かに手際よく殺してゆきます。
 ゾンビ映画で流血無しでは確実に物足りなさを感じてしまうところですが、「カリブゾンビ」に限っては血を流さないスマートな殺し方が作品の魅力のひとつになっています。
 食欲を満たすためでなく、任務としてただひたすら効率的に殺してゆくゾンビ兵士たちのストイックな仕事ぶりに、血みどろの惨状は似合いません。
 静かなゾンビたちの静かな殺しが、この低予算ホラー映画を格調高い作品に押し上げています。更に中盤登場するピーター・カッシングの英国紳士らしい格調高い顔立ちと演技がダメ押しとなり、「カリブゾンビ」は地味ながらもどこか高級感のあるホラーに仕上がっています。

シナリオも秀逸

 ナチスドイツが死体から製造した不死身の兵士が、貨物船内に閉じ込められたまま海底に沈められていて、地殻変動により30年の時を経て船ごと浮上してくる。この基本設定が先ず素晴らしいと思います。ワクワクします。
 水中戦闘用の兵士、という設定も秀逸。海岸や川、プールなど、水のある場所での襲撃シーンがスリリングです。水辺では走って逃げようにも、足がもつれてなかなか前へ進めませんから。他、海底を浮き上がることも無く平然と歩いたり、浅瀬の水中で横になって眠ったり、といったユニークな場面も多数。
 終盤、島の廃ホテルで安全な冷蔵室に生存者たちが隠れるくだりでは、仲間の1人が閉所恐怖症であることが発覚。パニックを起こして室内に照明弾を発射してしまい、全員がゾンビの潜む夜の闇に逃げ出すハメになるなど、巧い展開も用意されています。
 ただこの不死身のゾンビ兵士、トレードマークのゴーグルを外されると途端に戦意を喪失。おろろろと歩き回り、倒れて死んでしまいます。「眩しいと死ぬ?それじゃ全然不死身じゃないじゃない!」というご意見もあるようですが、この唯一の弱点が人間側に多少のチャンスとなりクライマックスの攻防が成立しています。
 更に倒れて死ぬカットではゾンビの不気味な素顔をアップで見せてくれるので、本作の数少ない画的にグロい見せ場となっています。

ゾンビの特殊メイクが独創的

 特殊メイクを担当したのは、有名な自主製作ゾンビ映画「死体と遊ぶな子供たち」(1972)で特殊メイク・脚本・主演を務めたアラン・オームズビー。「死体と~」の時点で既に高度な特殊メイクゾンビをクリエイトしていた彼が、「カリブゾンビ」でも見事な仕事ぶりを披露。
 ゾンビ兵士たちの土気色で皺だらけの皮膚感は、いかにも水にふやけたようでリアル。ところどころ皮膚がえぐれているあたり芸が細かいです。また、ゴーグルを取られて死んだゾンビの顔面が、時間を置いてぶよぶよに腐れ果てているグロテスクなカットもあります。

オマケにちょっとだけお色気も・・・

 ホラーには欠かせない・・・というわけではありませんが、「あるといいな」なお色気要素。エッチなシーンなど皆無な本作ですが、ヒロインのブルック・アダムスが常時ブラウスの前をはだけさせており、全編胸もとチラ見せ状態です。まあ、常に見せているから「チラ見せ」というレベルじゃありませんが。

私見、賛否両論ありつつも血みどろ監督は絶賛!

 ネットで検索していただくとよく判りますが、この「ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ」、評価は賛否両論です。ゾンビ映画研究の第一人者、伊東美和氏の著書「ゾンビ映画大事典」でも評価は低めで「平凡な演出」とバッサリ斬られています。
 本作の監督が、傑作ゾンビ映画「バタリアン」の続編「バタリアン2」を演出し、普通の軽いゾンビコメディのような印象しか残せなかったこととセットで語られてしまうことが多いようです。
 でもこの「カリブゾンビ」には多くの支持者が存在するのも事実です。私、血みどろ監督深沢真一もその1人。私はこの血の全く出ないゾンビ映画を心から愛してやまないのです。血みどろ監督なのに。
 「ゾンビ」日本公開直後だった当時、私は東京12チャンネルで本作に出会い、テレビ画面から目が離せなくなりました。ゾンビ兵士の格好良さと全編に漂う緊迫感に即魅了されてしまったのです。
「この不気味な連中、なんだかゾンビのようだけどゾンビよりカッコいい!そして怖い!」
 当時まだ子供だったから?でも隣にいたパティシエの父も一緒に見入っていたのを良く覚えています。普段ホラー映画など観ることの無い父だったのに。
 その1~2年後、午後からの洋画番組でリピートされた際ももちろん鑑賞しました。その日夕方、学習塾へ行くとたまたま塾仲間たちも観ていて、
「何あの映画、凄く面白くてカッコいいじゃん!」
「ゾンビみたいで面白かった!」
と本作の話題で持ちきりとなりました。以後学校のプールの授業では、ゾンビ兵士のように、スーッと水の中に消える超マイナーなものまねが仲間内で流行ったりもしました。
 また中学生になると、父にビデオデッキを買ってもらい、お小遣いをはたいて初めて買ったビデオテープ(当時割引価格でも1本3000円前後)にこの映画の再放送を録画しました。
 更にその十数年後、勤務先に来ていたバイトの女の子が、私がホラー好きと知り、
「昔テレビで観たんですけど、海からグラサンの兵隊がいっぱい出て来る怖い映画、何だか判りませんか?グラサン外すと溶けて死んじゃうんですけど・・・」
 と尋ねてきたこともありました。
「君、若いのにお目が高いねえ!これだよ。グラサンじゃないけどね!」
 とビデオテープを渡してあげると、彼女は大変喜んでくれました。
 万人にハマる映画なんてありません。分からない人もいて当然ですが、少なくともこの血の出ないゾンビ映画「ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ」が多くの人の心に強烈な印象を残したことは紛れもない事実なのです。

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