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名作「吸血ゾンビ」は「サンゲリア」のルーツ?

映画「吸血ゾンビ」イメージ画像(日本版ポスター)

英国ハマー・プロ製作ホラー映画「吸血ゾンビ」の解説ページです。
特に劇中登場するグロテスクなゾンビについて詳しく語ります。
「サンゲリア」「死霊のはらわた」への影響についても言及しています。

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解説「吸血ゾンビ」はこんな映画

「吸血ゾンビ」(原題・THE PLAGUE OF THE ZOMBIES)
1966年 イギリス 90分(日本版DVD収録時間)
監督・ジョン・ギリング 主演 アンドレ・モレル

昔、本屋さんでよく見かけた子供向けの「妖怪図鑑」的な書籍。
「世界妖怪図鑑」とか。
そんな昔の子供の夢が詰まった怪しいムックの中でよく紹介されていた、
ブードゥー教の呪術で甦った死体「ゾンビ」。
そこでほぼ100パーセントの確率で使用されていたのが、
「吸血ゾンビ」の土中から甦る死人のスチール。

「幽霊お化け妖怪」の「吸血ゾンビ」紹介ページ。

「幽霊お化け妖怪」の「吸血ゾンビ」紹介ページ。

ロメロ監督「ゾンビ」」公開以前の日本で「ゾンビ」と言えば、
この「吸血ゾンビ」のことを指していました。
(「恐怖城」があるんで日本初公開ゾンビ映画ではありませんが)

ロメロ作品以前のゾンビなので、
人肉喰いや伝染性などの近代ゾンビ的要素はありません。
ブードゥー教の呪術で甦り、司祭に操られる奴隷的存在。

でも墓地の土中から這い出して来た腐乱死体、
というイメージには強烈なインパクトがあり、
ホラー好きな昔の子供たちにとってゾンビは、
モンスターの中でも特別な存在でした。

そんな「吸血ゾンビ」は英国ホラーの名門、ハマー・プロ製作。
同じセットで同時製作された作品は「蛇女の脅怖」。

「吸血ゾンビ」ストーリー

片田舎の村で奇病が流行、立て続けに死者が出る。
診療所の医師から相談を受けた大学教授と娘が村を訪れると、
医師の妻も病に侵されていた。
ある晩教授の娘は、医師の妻が不気味な男に殺されるのを目撃。
犯人は最近病で死んだはずの男だった。
医師の妻は墓地でゾンビ化、
夫と教授に襲い掛かるが、教授はその首を切り落とす。
事件の黒幕は、鉱山を所有する村の有力者だった。
呪術で殺した村人を甦らせ、鉱山で働かせていたのだ。
真相を突き止めた教授は、鉱山主の屋敷に乗り込み戦いを挑む。

「吸血ゾンビ」ここが見どころ!

グロテスクな腐乱ゾンビ

「吸血ゾンビ」に登場するゾンビのメイクは、
初期ロメロ作品のゾンビのような、
肌をグレーや青に塗っただけのタイプではありません。
皮膚が白くふやけてボロボロに爛れている、
かなり作り込んだ特殊メイクによる高度な仕上がり。
その醜怪な姿は後の「サンゲリア」や「死霊のはらわた」を想起させます。

「青いゾンビだけは絶対にやりたくなかった」
という「サンゲリア」の特殊メーキャップマン、ジャネット・デ・ロッシが、
同じくブードゥー教ゾンビを扱った「吸血ゾンビ」と同じく、
白い腐乱ゾンビをクリエイトしたのは非常に興味深い事実です。

墓場から甦るゾンビの姿は元祖「サンゲリア」

製作サイドがロメロの「ゾンビ」の続編を装いつつも、
現場クリエイターは「ゾンビ」との差別化を目指した名作「サンゲリア」。
山場を迎える後半には、「ゾンビ」では絶対にあり得ない、
墓地の土中から這い出して来る死人の群れを描いていました。

「吸血ゾンビ」には、そのルーツとも思えるシーンがあります。
墓場の土を押しのけて起き上がるグロテスクな腐乱ゾンビたち。
まさに「世界妖怪図鑑」的子供向けムックでもスチールを使われまくった名場面。
ホラーマンガ「魔太郎がくる!」でも紹介されてました。

「幽霊お化け妖怪」の「吸血ゾンビ」スチール。

「幽霊お化け妖怪」の「吸血ゾンビ」スチール。

なので「ゾンビ」が日本で公開された際も、当然そういう場面があるのでは?
と日本の子供たちは期待しましたが、リアリティ重視の「ゾンビ」にそんな描写は無し。
それが約一年後に公開された「サンゲリア」には、これでもかというくらい描かれており、
ホラー好きの子供たちに妙な満足感を与えたのでした。

「サンゲリア」「死霊のはらわた」への影響

「ゾンビ」の続編を装い、
イタリアでは「ゾンビ2」のタイトルで公開された「サンゲリア」。
人肉喰いや伝染性など、
ロメロ型ゾンビの美味しい要素を恥ずかしげも無く受け継いだ作品ですが、
怪奇映画としての純然たる脅かし演出を重視している点で、
そのルーツを「吸血ゾンビ」の中にも垣間見ることが出来ます。
ゾンビと建物が炎に包まれる、
いかにも昔のホラー映画なクライマックスもこの2作品、共通していますし。

そう言えば、白い腐乱ゾンビが登場する後のもう1本のホラー映画、
「死霊のはらわた」にも「吸血ゾンビ」との共通点があります。
クライマックスでゾンビ現象の元凶「死者の書」に火が点くと、
ゾンビの身体から煙が出ます。

「吸血ゾンビ」のクライマックスでも、
ゾンビ化の儀式に使われた人形に火が点くと、
ゾンビの身体から煙が出るんです。

終盤の見せ場で白いゾンビが煙に包まれる、
この共通点、偶然とは思い難いです。

「ゾンビ」以前の日本で最も有名だったゾンビ映画「吸血ゾンビ」。
後の重要なゾンビ作品2本への影響を与えた(らしい)という点で、
ゾンビ映画史における重要な位置にある作品なのではないでしょうか?

「吸血ゾンビ」、
吸血と言いながら血は吸いませんし、
なにぶん製作時期が古いので、今観ると刺激は少なめな作品ですが、
ゾンビ映画ファンなら押さえておきたい1本ですね。
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