「悪夢の死霊軍団 バージン・ゾンビ」フランス製幻想ホラー

映画「バージン・ゾンビ」日本版VHSジャケット ゾンビ映画

ゾンビなんて登場しないフランス産の幻想的ホラー映画に、
後撮りで無理矢理ゾンビの襲撃シーンを付け足した強引なゾンビ映画、
「悪夢の死霊軍団 バージン・ゾンビ」。
その奇想天外な内容について詳しく語ります。

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「悪夢の死霊軍団 バージン・ゾンビ」はこんな映画

「悪夢の死霊軍団 バージン・ゾンビ」
(A VIRGIN AMONG THE LIVING DEAD)
(1971年 フランス 105分)
監督 ジェス・フランコ
主演 クリスティーナ・フォン・ブラン

一見、浮浪者のようなゾンビの群れ(全員男性)が、
なぜか顔を伏せて逃げるヒロインを追い詰め、
寄ってたかって身体をペタペタと触りまくる!
ゾンビ登場シーンは主にそれだけ!
全体的にはヒロインが奇怪な幻覚や悪夢に悩まされ続けるお話。
「バージン」というワードに期待した人も、
「ゾンビ」に期待した人も、
ガッカリすること請け合いな作品。

フランスのユーロシネ配給、ジェス・フランコ監督の幻想的ホラー映画。
ゾンビ登場シーンは完全後撮り。
ロメロの「ゾンビ」のヒットを受け、
再公開時に追加撮影され、タイトルもゾンビ映画風に改題された。

「悪夢の死霊軍団 バージン・ゾンビ」ストーリー

病気の叔母に会うため、森の奥の屋敷にやって来たヒロイン。
到着するや叔母は「逃げて」と言い残し絶命。
屋敷に住むヒロインの親類や使用人は、奇行が目立つ変人ばかり。
そんな屋敷で暮らすうち、
彼女は、幻覚と悪夢に悩まされるようになる。
死んだはずの父親まで現れ、
「屋敷に住む連中の正体は悪魔だ」
などと言いだす。
そしてついに屋敷の住人達がヒロインに襲いかかるのだが、
それすら現実なのか、夢なのか。

「悪夢の死霊軍団 バージン・ゾンビ」見どころ

「悪夢の死霊軍団」の意味

ゾンビがバージンであろうがなかろうが、
全く何の興味も無いお話ですが、
日本版ビデオのジャケット裏の写真を見ると、
どうもそういう事では無さそうです。

ジャケット表には、全身ドロドロに爛れた物凄い形相のゾンビ軍団が、
とても格好良く描かれています(イラスト)。

映画「バージン・ゾンビ」日本版VHSのジャケットのゾンビ画像。

ゾンビ軍団(理想)。

が、
ジャケット裏の写真では、
恐らくゾンビかと思われる浮浪者風の貧相なオジサン達が、
女の子の前にズラリと並んでます。

映画「バージン・ゾンビ」劇中に登場するゾンビ。

ゾンビ軍団(現実)。

いわゆる理想と現実ですね。

そしてこのオジサン達の股間から女の子の股間の向けて、
ニューッと変な矢印が描き加えられてますよ。

これはゾンビがバージンを襲うというエロ系なお話?

全然違いました。
そもそもこの物語にゾンビの出番などありません。
なんとヒロインが、
ゾンビの夢を見るだけです。

「悪夢の死霊軍団」
まあ、嘘じゃありませんが・・・

無理矢理なゾンビ登場シーンの全貌!

ヒロインが見る夢の内容ですが・・・

土の中(というか積もった枯れ葉の下)から這い出てきたゾンビ達が、
空家の一室にヒロインを追い詰めて取り囲み、
恐怖しうずくまる彼女の頭や肩を、
皆で寄ってたかってペタペタと触る
(見た通りに表現)、
というもの。

・・・何これ?

ちなみにこのゾンビ軍団、
メークは塗りで顔色を若干悪くしただけなので、
リアルに浮浪者です。

劇中何度も何度も繰り返し出てくるこの夢のシーン、
明らかに不自然です。

ヒロインは常にカメラから顔を隠してます。
手で隠したり不自然にそむけたり。
かと思えば突然顔のドアップが挿まれますが、
明らかに別のシーンからの流用。

ちょっと勘の良い人なら、
別人の吹き替えで撮り足したな、
とすぐ気付きます。

そう言えばオープニングのタイトルも、
なぜかそこだけ映像がアナログビデオの静止画像になり、
テロップ処理で、
「A VIRGIN AMONG THE LIVING DEAD」。
差し替えたのが見え見えです。
いかにもゾンビ映画風なタイトルに。

可能な限りあちこちに差し込まれる、後撮りのゾンビの夢。

屋敷の住人達が一斉にヒロインに襲いかかるクライマックスでも、
ここぞとばかりにゾンビを挟み込みまくるものだから、
本当はヒロインがどういう目に遭っているのかサッパリ分かりません。

挙句の果てにはラストシーンまで、
夢から目覚めるヒロインは顔隠しの吹き替え。
つまりこのエンディングも後撮りの追加。

本来の結末がどうなっていたのか全く知る由もありません。

ゾンビ追加無しの本来の内容は・・・

ちなみに・・・
ゾンビのシーンを追加する前の本来のバージョンはどんな感じなのかというと・・・

無人の廃墟である筈の屋敷を訪れたヒロインが、
この世の者らしからぬ人々との暮らしの中で死のイメージに付きまとわれ、
ついには死の世界へ取り込まれてゆく・・・
そんな幻想的で物悲しく不気味な作品です。

もともとソフトコア・ポルノということで、
ヒロイン含め、女優陣のヌードシーンがいっぱい。
(ゾンビ登場版の方では概ねカット)
死とエロスのイメージの連続、といった風情ですね。

理解困難な部分も多々ありますが、
まあ、ゾンビ出て来ない方がスッキリしてて展開に一貫性があります。

そこへ無理矢理ゾンビのシーンを撮り足して、
内容をかなり混乱させてしまったけど、
まあ、タイトルに「リビングデッド」と付けときゃ、
こんなわけの分からんフランス映画でもゾンビ好きが観るでしょ、
ってことですかね?
ゾンビ映画ファンを舐めてるとしか思えませんな。
とは言え、確かにフランス人の思惑通り世界中が観てしまいましたね。
しかもこんな紹介ページまで作っちゃってるんだから思う壺です。

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