8ミリフィルムで撮影された、ゾンビ映画テイスト爆発の吸血鬼ホラー映画。低予算、自主製作ながら世界流通を果たした、全編スプラッター描写満載の意欲作。クライマックスの血みどろシーンが大迫力。
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ざっくり解説「新・死霊のえじき」はこんな映画!
「新・死霊のえじき」(DARKNESS)
1992年 アメリカ 90分(日本版VHS収録時間)
監督 リーフ・ヨンカー 出演 ゲイリー・ミラー
8ミリフィルムで撮影されたインディーズ・ホラー映画。急速に吸血鬼現象が拡がる町の中、仲間を救いながら吸血鬼の群れと戦う若者の姿を追います。
ゾンビ映画の名作「死霊のえじき」の続編風タイトルは勿論日本だけ。厳密には吸血鬼ものです。でも甦った犠牲者が集団で人を襲い、吸血と言うよりは喰らい付いて皮膚ごと喰いちぎるあたり、とてもゾンビ映画的。
出演者は素人、シナリオも完璧とは言えず、特殊効果も見るからに手作り。それでもゾンビ映画的な見せ場をふんだんに盛り込み、クライマックスをド派手なスプラッターで盛り上げたことでホラー映画通から高い評価を得ています。
自主製作の8ミリ映画でありながらアメリカ本国で商品化され、世界マーケットでの流通も果たした作品です。ゾンビ映画ファンのバイブル「ゾンビ映画大事典」によれば、ポスプロでジョン・カーペンターが協力しているとのこと。BGMの使い方が巧いのはそのせい?ドラマを効果的に盛り上げつつ、決して目立たず、ムード醸成に地味に貢献しています。
「新・死霊のえじき」ストーリー
ある晩、1人の吸血鬼が町へやって来る。襲われた犠牲者はすぐに甦り吸血鬼に。町中が吸血鬼で溢れてゆく中、家族を殺された若者が復讐を誓い闘いを挑む。吸血鬼ハンターとなった彼は友人たちを救いながら、仇である元凶の吸血鬼を追うが、敵は友人の弟を吸血鬼に変えて送り込んで来る。次々に命を落とす友人たち。生き残った主人公らは、全力疾走する無数の吸血鬼たちの襲撃を受けるが・・・
「新・死霊のえじき」ここが見どころ!
8ミリフィルムが世界を席巻!
何度も言っておりますように、8ミリフィルムで撮影された自主製作映画なんですよ。「ゾンビ映画大事典」によれば、16ミリフィルムでの撮影を予定していたものの、予算が確保出来ず8ミリになったとのこと。って私の「地獄の血みどろマッスルビルダー」と同じ経緯じゃないですか!
たった1人で「地獄の血みどろマッスルビルダー」の仕上げ作業に黙々と打ち込んでいたころ、ビデオ店でこの「新・死霊のえじき」の予告編を観て「8ミリ映画!しかも海外リリース!」と驚き、何だか堪らなく嬉しくなったのを今でも良く覚えています。希望を持てた、というか。
時を経て拙作「地獄の血みどろマッスルビルダー」も、国内に続き海外リリースが実現。強い思いは叶うものです。
8ミリフィルムなので粗はあります
時折フォーカスが甘かったり、露出オーバー・アンダーなど多少の粗はあります。画質も当然粗いです。8ミリ映画ですからね。
デジタルカメラで慣れてる世代には分からないと思いますが、8ミリのフィルムカメラって大変なんですよ。例えばケータイのカメラで室内の人物を撮ると、だいたい見た通りに写るじゃないですか。8ミリなんて照明を焚かなきゃ何も写らないですからね。しかも上手に光を当てないとスポットみたいになって顔真っ白に飛んじゃいます。
この映画、吸血鬼ものということで室内や夜間シーンが多いから現場は大変だったと思います。ネガフィルムがある16ミリや35ミリと違い、8ミリはリバーサルフィルム(撮影フィルムがそのまま上映用フィルム、後加工不可)なので後から修正も出来ませんし。
でもこの「新・死霊のえじき」、画質の粗なんて吹き飛ばすくらいの勢いとパワーに満ちた作品なんです!
物凄い流血量!全力のスプラッター!
とにかく凄い流血量の作品です。冒頭から何人も殺され、甦り、また殺される血みどろのスタート。銃による着弾効果も多く、頭部の破裂などもあります。一応吸血鬼ですが肉ごとかじり取ってから血を吸ったり、皮膚を毟り取ったりと、極めてゾンビっぽく派手に喰い散らかします。他にも車で撥ねられた吸血鬼が木っ端みじんに粉砕したり、と手抜き無しの見せ場多数。徹底的に見せます。特殊効果の技術は時に低く見えますが、そこは8ミリフィルム特有の低解像度の画質が奇跡のフォロー。粗を隠します。
最大の見どろは、何と言っても吸血鬼の崩壊シーン。吸血鬼どもがドロドロ崩れながらのたうち回ります。「死霊のはらわた」からの影響もありそうな、渾身のアナログ特撮人体崩壊ショーは大迫力!皮膚が剥がれてあばら骨は覗くは、全身から出血して大爆発するはで大騒ぎ。最後は主人公らも返り血浴び放題。楽しい楽しい血みどろの地獄絵図が展開します。
やっぱりホラーは予算じゃない。パッションだ!この監督、リーフ・ヨンカーにどなたか十分な製作費を!・・・あとついでに私にも。
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