巨大な蜘蛛が襲い掛かかるモンスター映画の歴史を、特殊効果別にまとめました!近年の映画でCG技術を駆使して描かれる巨大蜘蛛は、その姿、動きともに見事という他ありませんが、CG以前のアナログ特撮による巨大蜘蛛たちもなかなかの迫力で侮れません!
スポンサードリンク巨大蜘蛛映画の昔と今
巨大化した蜘蛛が襲い掛かるモンスター映画は、昔から数多く製作されています。
近年はCG技術を駆使した大迫力の巨大蜘蛛映画が次から次へと発表されていますね。2002年の快作「スパイダーパニック!」等に代表される、デジタル技術で再現された蜘蛛の独特な動きは大変に見事で、襲撃シーンにはゾッとする不気味さがあります。
しかしCG以前の作品にもアナログ特殊効果による凄い巨大蜘蛛は存在しました。
巨大蜘蛛映画の各時代を代表する作品は・・・
そんな巨大蜘蛛映画の代表作を、時代ごと、特殊効果の種類ごとにまとめてみました。。
本物を大きく撮って合成
本物の蜘蛛を接写で撮影して、スクリーン・プロセスなどのアナログ技法で実景と合成するのが、巨大蜘蛛映画初期、50年代頃の手法でした。ちなみにスクリーン・プロセスというのは、先に撮影した映像をスクリーンに映写、その前に人や物を置いて後ろの映像ごと撮影しちゃう合成技法。
「大アマゾンの半漁人」のジャック・アーノルド監督作、「世紀の怪物/タランチュラの襲撃」(1955年 アメリカ)がその代表作。開発中の成長促進剤を投与された蜘蛛が逃げ出し、2階建ての家よりも大きくなってアメリカの片田舎でひと暴れします。
麻酔薬で動きを鈍くした本物の蜘蛛を使って撮影。合成処理は大変良好で、古いモノクロ・フィルムの中でゆったり動く巨大蜘蛛はかなり不気味で迫力あります。
何でも大きくしたい監督ミスターBIGことバート・I・ゴードン監督作「吸血原子蜘蛛」(1958年 アメリカ)も同じ手法。やはりアメリカの田舎を舞台に、洞窟の中で勝手に大きく育った蜘蛛が街へ繰り出して暴れます。
こちらは場面によりスケール感が違っていたり、時折合成感が目立つこともありますが、やはり本物の動きはリアルで迫力あります。
実際にデカいのを作っちゃう底抜けハリボテ作戦
少しブランクありまして、70年代半ば、斬新な特撮技法の巨大蜘蛛映画が登場します。
「ジャイアントスパイダー大襲来」(1975年 アメリカ )では実物大の巨大蜘蛛を作って現場にデンッ!と置いちゃいました。合成処理一切無し。なので実際そこに居る(と言うか在る)存在感は凄いです。
ただし、このでっかい蜘蛛、造形が物凄く簡単、と言うか雑です。ハリボテ感は否めません。中にフォルクス・ワーゲンを仕込んで、お祭りの山車のように前進。長い脚は中に隠れた大勢のスタッフが頑張って動かします。なんか初期の頃の本物合成より退化してるような気も・・・
CGは凄い!デジタル巨大蜘蛛は見事な動きで大迫力!
そして時は流れ、CGが映画の特殊効果の主流となった近年、巨大蜘蛛映画は他の様々な巨大生物映画同様、次から次へと製作されるようになりました。
「スパイダーズ」(2000年 アメリカ)ではエイリアンの遺伝子により巨大化した蜘蛛が登場。クライマックスには街へ繰り出し、過去の作品、特に「ジャイアントスパイダー大襲来」と同じような景色の中を見事にリアルな動きで突き進み、特殊効果技術の目覚ましい発展ぶりを見せ付けました。人の体内で孵化した巨大蜘蛛が人体を喰い破って登場する残酷描写も見どころ。
「スパイダーパニック!」(2002年 アメリカ)では、様々なサイズの巨大蜘蛛が同一画面内を、見事なリアル蜘蛛ぶりで自在に動き回って見せました。
スティーブン・キング原作「ミスト」(2007年 アメリカ)の恐ろしい巨大蜘蛛も印象的でしたね。そう言えばこの作品でも生きた人の体内から子グモが。
かくして巨大蜘蛛は、低予算モンスター・パニック映画の常連となり、スクリーンの上を闊歩し続けています。
「アイス・スパイダー」(2007年 アメリカ)では人間大位の適度に巨大な蜘蛛が。「メガ・スパイダー」(2013年 アメリカ)はエンターテインメント性の高い痛快な巨大蜘蛛映画。「ラバランチュラ 全員出動!」(2015年 アメリカ)では溶岩の中から現れた口から火を噴く巨大蜘蛛の群れが大暴れ。80年代の大ヒット・コメディ「ポリスアカデミー」の出演者を集結させた楽しいエンターテインメントです。
その他にもいろいろ、例えばすっかり老け込んだジョン・コナー、エドワード・ファーロングが出演してる「スパイダー・シティ」とか、数え上げればサメ映画のようにキリがありません。
まあ、これら量産される低予算巨大蜘蛛のCGは、正直、アニメっぽく見えてしまうこともままあります。でも、どんな動きでも自由自在にクリエイト出来るようになった、というのは本物やハリボテで撮っていた頃と比べると画期的ですね。
巨大蜘蛛番外編!やっぱりアナログは面白い!
何でも出来ちゃうデジタル巨大蜘蛛に見慣れちゃうと、何だかあの超アナログな情けないハリボテ蜘蛛をもう一度見直してみたくなります。何と言うか、そこには手作りの味わいがあるんですね。
本物とCGのミッシングリンク「ジャイアントスパイダー大襲来」
田舎町を舞台に、落下した隕石から出て来た蜘蛛がどんどん大きく育ち、住民たちをのろのろと追い掛け回す変な巨大蜘蛛映画「ジャイアントスパイダー大襲来」。テレビ放映タイトル「巨大宇宙グモ大襲来」。
宇宙グモはうじゃうじゃ出て来るものの、なぜか大きくなるのは1匹のみ。(多分予算と手間の都合)だんだん大きくなる過程を全て実物大ハリボテで見せます。80年代に流行ったメカニカル仕掛けのダミーとは違い、中から人の手で動かしたり、内部に自動車を入れて移動させたりと、超ローテク特撮がバカバカしくも何やら微笑ましいです。
見どころは、ファンの間で語り草となっている、路上を逃げ惑う群衆を後ろから巨大蜘蛛が追って来るシーン。台車を仕込んだ巨大蜘蛛を引っ張って動かしているのは、他でもない前を逃げる群衆です。ハリボテと逃げる群衆を紐で連結。まあ、無駄が無いです。なので群衆は蜘蛛の前を先導するように真っすぐ走ります。散り散りに逃げればほとんどの人が助かりそうなもんなのに、皆さん律義に前を走ります。
蜘蛛による人間の捕食シーンも見どころです。口ではなく、蜘蛛のお腹の辺にある裂け目の中に、皆さん自分から「うわーっ」とか言って入り込んで行きます。
あと、爆弾を喰らった巨大蜘蛛がダラダラドロドロと溶ける特撮も、昔の円谷プロっぽくてどこか懐かしいです。
オマケに変なアナログ巨大蜘蛛をもう1匹
「キングスパイダー」(2003年 アメリカ)は、デジタル時代に作られた超アナログ特撮満載の巨大蜘蛛映画です。特撮好きは必見。
軍の施設を逃げ出した生物兵器の蜘蛛が巨大化してハリウッドの街を破壊。軍も巨大蜘蛛を攻撃しながら、ついでにハリウッドの街も遠慮なく破壊します。
明らかに何か恨みでもありそうな企画ですが、デジタル全盛のハリウッド映画へのアンチテーゼでしょうか?破壊される街はミニチュアセットという徹底したアナログ嗜好。明らかに作り物のセットに蜘蛛のダミーを放り込んでブチ壊す映像は、まるで日本の特撮ヒーローもの。今の時代に見せられると何やらシュールです。
ちょっと残念なのは、動き回る巨大蜘蛛をCGで表現しちゃってるんですよね。アニメ感丸出しのチャチなCGなので作品のトーンは守られてますが、やはりここは作り物を操演とかで動かして欲しかったところ。
ちなみに操演とはダミーをピアノ線とか透明な糸で操る手法です。
まあ、本物合成でも、ハリボテでも、CGでも、作り手側に凄いものを見せたい!楽しませたい!という強い思いがあれば、出来はどうあれ、映画は面白くなるもんだと思います。
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