「サタデー・ナイトメア~のろいのサマーバケーション~」
の感想&解説ページです。
あまり知られていない、未ディスク化(2023年7月現在)の殺人鬼ホラー映画です。
「サタデー・ナイトメア~のろいのサマーバケーション~」
2000年製作 82分 日本映画
主演 大河内奈々子 三輪ひとみ
監督 清水厚
2000年発売のオリジナルビデオ。
離島を舞台に、昔の虐めの因縁で同級の若い男女が殺人鬼に襲われる。
安い即製OVかと思いきや、割としっかり作られたスラッシャーで面白かった。
後半バトルのコミカルな要素も楽しい。
でも、後半の展開、事の真相に関しては大いに不満が残る脚本。
「サタデー・ナイトメア~のろいのサマーバケーション~」 ストーリー
10年前、小学校の臨海学校で埋めたタイムカプセルを掘り出すため、
同級生の男女数人が過疎の離島に集められる。
しかし40人いたクラスなのに案内が届いたのは6人だけ。
そして掘り出されたタイムカプセルの中には、
かつて虐めを苦に自殺した少年が作った呪いの面が。
気を取り直し同窓会気分を楽しもうとする彼らだったが、
突如現れた呪いの面の殺人鬼に次々と殺されて行く。
島の中にいるのは彼らと廃校の管理人だけ。
犯人は誰なのか?
「サタデー・ナイトメア~のろいのサマーバケーション~」 はこんな映画
80年~90年代に量産された若者たちが殺されるマスクド・マーダラー、覆面殺人鬼ものの趣。
まあ、それを意図的に踏襲してる企画なわけですが。
細マッチョな殺人鬼が電動草刈り機で若者たちを容赦無く切り裂きます。
冒頭からいきなり殺人鬼登場の張り手型な展開はそれっぽくて良いのですが、
一滴の血も出ず「キャーッ!」でアナログテロップなタイトルバックに行っちゃう俗な感じが、
安いオリジナルビデオの予感。
ところがその後は徐々に不安を煽る順調な展開を見せ、
飽きさせること無く引き込みます。
青春ホラーとしても上々な滑り出し。
6人それぞれの個性的なキャラも、早々に手際良く紹介されます。
そして離島内最初の殺戮は想像を上回る派手な趣向。
電動草刈り機で串刺しからの、
「アダム・チャップリン」ばりの怪力人体持ち上げ振り回し、
&胸に空いた風穴から向こうの景色が見える「地獄の謝肉祭」的出血大サービス。
その後の残酷描写は数える程ですが、
銃を乱射しまくるサイコパスな警官同級生のアブノーマルぶりや、
(天才バカボンのおまわりさんを思い出した)
クライマックス、ヒロインのトリッキーな反撃方法などで楽しく盛り上げます。
そして何より目が離せなかったポイントなのが、
犯人捜し!
三輪ひとみ(超美人)演じる病弱な女子が、
自殺した〇〇君の呪いよ!
と恐れおののき続けますが、もちろんそんな筈はありません。
最初の犯行時、皆から離れ姿を消していた警官は犯行可能で怪しい。
また、管理人は電動草刈り機を愛用していたけど、
そう言えば自殺した子の父親は学校の用務員でやはり草刈り機を使っていたっけ。
もしやあの管理人・・・
等々、推理は尽きません。
でも少ない登場人物が次々死んで行くので、
容疑者がどんどん消えちゃいます。
殺人鬼の正体、一体誰なの?
通常、事前に皆が気付きにくいよう、劇中さり気なく伏線を張っておいて、
最後に意外な人物を犯人とするのが定石ですが・・・
散々引っ張っておいて、用意された結末、
私は納得行きませんでした。
私の中では、この点だけで一気に惜しい作品となってしまいました。
楽しんで観ていただけに残念。
本当にモヤモヤしたままですよ。
結末に関しては、
ネタバレになりますが、
下に率直な感想を書きます。
これからこの作品を入手してご鑑賞される方は読まないでください。
読まれる方は自己責任でお願いいたします。
以下、ネタバレします。ご注意ください。
閲覧注意!ネタバレのクライマックスと納得行かない事の真相
※以下、結末に触れています。
ご鑑賞予定の方は読まないでください。
↓ネタバレ要注意!
私は最初、犯人はサイコな警官同級生しかいない、
と思ってたんですよ。
最初の殺戮で、
犯行可能なのは彼一人でしたから。
管理人もだけど、
ずっと電動草刈り機をこれ見よがしに愛用してた彼が犯人じゃ、
面白くも何ともないので。
案の定、管理人を殺しても殺人鬼は現れるのですが、
あろうことか、唯一の容疑者、サイコ警官と殺人鬼がバトルに。
え?え?え?
じゃああれ中身誰よ?
真犯人は一体誰なのか!?
真相解明への期待値は一気にうなぎのぼりです!!!
しかもこの殺人鬼、銃で何発撃たれても死にましぇん!
でもヘッチャラなわけじゃなく、多少のダメージは受けてるっぽい微妙な不死身さ。
防弾チョッキ的な?
とにかく、何とかやっつけて、
早く呪いの面の下の顔を見せてくれ!
で・・・
殺人鬼の正体、誰だったのかと言うと・・・
結局、分かんないままなんですよ。
殺人鬼、跡形も無く大爆発で、面の下の顔も見ることは出来ないまま。
あれは一体、何だったのだろう・・・
本当に自殺した少年の呪いだったのだろうか?
・・・ていう心霊的オチは絶対無理よ。
それまでずっと完全に理詰めな展開で、
そういう可能性ゼロな世界観だったんだから。
全然呪い的な展開の描き方、してきてないから。
ここへ来て不条理オチは無理。
なので、自殺した少年の復讐劇とするなら、
自殺したはずの彼、
クラスメートには知らされていなかったけど、
実は生きていてずっと昏睡状態だった、
とかの伏線が絶対必要不可欠。
で、管理人はやはり父親で、
息子の復讐のため、皆に招待状を送って呼び寄せたのも父。
殺戮は精神障害のまま成長した息子、
とかね。
犯人大爆発で真相描かず終わり、とかあり得ないから。
しかもその後、また殺人鬼現れる!に至っては、
もう怖い、とかでなく、ただただ不可解なだけ。
スラッシャーの名作、
例えば「血のバレンタイン」や「ローズマリー」で、
容疑者全員死んで、犯人の正体描かれないまま終わるって、
あり得ないでしょ。
「犯人誰だろう?」
と思いつつ観ている間は、とても面白く、
どこか懐かしいスラッシャーでした。
殺人鬼張りに何故かなかなか死なないサイコ警官とか、
コミカルな要素も加わった後半バトルもとても良かったのに。
惜しいなあ。
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