モンスター映画の名作「溶解人間」が楽しい!

映画「溶解人間」イメージ画像 ホラー映画

 全身どろどろ溶け続けながら襲い掛かる人喰い男の恐怖!懐かしのホラー映画「溶解人間」の魅力を語り尽くします。

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解説「溶解人間」はこんな映画!

「溶解人間」(THE INCREDIBLE MELTING MAN)
 1978年 アメリカ 84分(日本劇場公開時)ウイリアム・サックス監督

 50年代のSF・ホラーにオマージュを捧げたモンスター映画。
 宇宙の熱線で身体を焼かれた宇宙飛行士が、地球へ帰還後全身溶けながら錯乱して人を襲います。
 怪物化した人間1人が脅威となり、局地的に小さなパニックを引き起こす、という古いホラーのパターンを踏襲。モンスタースーツ1つ、あるいはモンスターマスクと手袋1組用意して1本持たせてしまうような映画、昔はけっこうありました(「太陽の怪物」等)。
 宇宙飛行士がモンスター化して帰還、というのも黄金パターン(名作「原子人間」等)。「フランケンシュタイン」以来の名作の条件、モンスターの悲哀もしっかり描かれるなど、基本は全て押さえています。
 魅力的な怪物をクリエイト出来れば映画1本成立してしまう、そんな古き良き時代のSFホラーを、最新の特殊メイクを駆使してグロテスクな見せ場たっぷりに再現。そんなちょっとノスタルジックでいて、かつ刺激的なホラー映画が「溶解人間」です。 

ストーリー

 宇宙空間で熱線を浴びた宇宙飛行士が、地球へ帰還後病室で目を覚ますと、顔面が爛れて崩れかけていた。錯乱した飛行士は看護師を惨殺し逃走。全身どろどろ溶けながら人を襲い、新鮮な細胞を求めて人肉を喰らう。そんなモンスターと化した男の暴走を止めようと、彼の友人である科学者が奔走するが、溶解人間はなぜか溶けるほどに強力になってゆくのだった。

血みどろホラー監督のお薦めポイント

ストレートなホラー映画

 醜悪な姿のモンスターが襲ってくる恐怖、というシンプルで判りやすい構造が、昔のホラー映画の良いところ。50年代SFホラーのテイストを70年代に再現して見せた本作も、全身どろどろつゆだくという、これ以上ないほど近寄りたくない容姿の怪人が怪力で人の首をねじ切るストレートなお化け映画です。

最大の見所は見事な溶解メイク

 この映画の最大のお楽しみは何と言っても溶解人間の見事な溶けっぷり。後に「狼男アメリカン」でアカデミー賞の特殊メイクアップ部門初代オスカーを手にするリック・ベイカーが手掛けた特殊メイク&特殊効果は本作の目玉です。
 当時まだ26歳だった巨匠の技術は既に世界の最高レベル。身体が溶けてゆく過程をいくつかのフルフェイス・マスクと手袋で段階的に表現しています。この溶け具合が変化して行く、というのはけっこう楽しい要素。マスク1つ作っておしまいの低予算ホラーとはワクワク感が違います。本番ではコーンシロップをかけてとろみを追加。肉汁たっぷりのグロテスクなモンスターに仕上がりました。最後はダミーも使用してとことん溶かしまくります。
 ただ巨匠はこのメイクに決して満足していなかったようです。と言うのも、試作品のマスクを見た監督がその出来栄えに感心し、それをそのまま本番に使うと言い出したのです。「本番用は可動式のマスクにしたかったのに・・・」そう残念がっていたそうです。
 ちなみに国内版ビデオソフトや現在発売中のブルーレイのジャケットにも採用されている溶解人間の顔面のアートワーク。この写真でメイクを施されているのは、当時リック・ベイカーの弟子だった若き日のロブ・ボーティンです(後に「ハウリング」や「遊星からの物体X」で特殊メイクを担当)。

血みどろの殺戮も見所

 全編スプラッターな見せ場がたっぷりな印象ですが、意外や直接的な残酷描写は少なめ。顔面をつかまれた、と思ったらもぎ取られた生首が川に放り投げられる、など、グロテスクな死体を見せ付けるパターンが多いです。ただ死体の出来はとてもリアル。もぎ取る瞬間は無くても刺激は十分です。半分えぐれた顔面なども、78年当時としてはサービスカットでした。
 残酷描写で特に人気が高いのは、滝壺に落下した生首の頭部がひしゃげるシーン。ここは真正面からしっかりとその瞬間を見せてくれます。切断された犠牲者の首が小川をのんびりと流れて行き、2メートル位の小さな滝を流れ落ちると「ビチャッ!」と割れます。
 本筋から外れた完全に蛇足なこのくだりですが、スローでじっくりと見せてくれます。見世物に徹していますね。モンスター映画って、もともと見世物感覚の興行だったはずですからね。溶ける人間に潰れる頭、最高のグランギニョールです。

時代を超えたB級ホラーの佳作

 「溶解人間」は、等身大の怪人1人が暴れる古いタイプのモンスター映画です。この手の昔の作品を今の感覚で鑑賞すると、やはり時代に合わず退屈してしまいがち。ですが、グロい見せ場も多く、何よりモンスターの写るカット全てがファンタスティックなこの「溶解人間」は、今観ても十分に刺激的。グロテスクな怪物と血みどろ描写が楽しい、完璧な仕上がりのモンスター映画です。いわゆるB級と呼ばれるホラーがお好きな方には激しくお薦めします。

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