手作り感溢れるギミック・モンスターのアナログ特撮が楽しい海洋ホラー映画、
「深海からの物体X」の見どころ解説ページです。
「深海からの物体Ⅹ」
(CREATURES FROM THE ABYSS)
(1994年 イタリア 86分)
「深海からの物体X」ストーリー
バカンスを楽しむ大学生たちを乗せたボートが夜の海で遭難。
烈しい嵐の中、5人の男女(男2名女3名)は、
漂流する大型クルーザーを発見して乗り込みます。
海洋生物の調査・研究をしていたらしいその船の中に、
乗組員たちの姿はありません。
その後、錯乱した科学者1人が発見されるも、まるで廃人のような状態。
一体何があったのか?
船内の研究室には、ビン詰めにされた不気味な魚が多数。
その正体は、放射性廃棄物に汚染されたプランクトンを食べた魚の標本。
完全には死んでおらず、突然甦り、空中を飛び回って若者たちに襲い掛かります。
また、汚染魚を焼いて食べた女子は激しく嘔吐。
その吐瀉物の中には何匹ものクワガタが。
(何でクワガタ?ゴカイとか海洋生物の方が良くない?)
汚染プランクトンをひと口舐めた男子は、
女子とエッチの最中、興奮のあまり魚&タコ的なクリーチャーに大変身!
相手の女子はその後、キャビアの様な魚卵をダラダラと大量に産み続けます。
汚染プランクトンに感染(?)した仲間が次々お魚お化けに変身する中、
感染を免れた男子は船を爆破。
恋人らを引き連れ脱出を図るものの、
タコ足モンスターに行く手を阻まれるのでした!
「深海からの物体X」はこんな映画
アナログな特撮が楽しい
1982年、ジョン・カーペンター監督作「遊星からの物体X 」では、
高度な特殊メイクとメカニカルを駆使した最新SFXにより、
モンスターが自在に変身する様を合成処理無しで徹底的に見せ、世界を驚愕させました。
その「遊星からの~」の遠い親戚・・・でも何でもない「深海からの物体Ⅹ」では、
手作り感溢れるオモチャの様なギミック・モンスターを操演で動かし、
一部のマニアックな層(私など)を喜ばせました。
スタッフが隠れて手で動かしてたり、
役者が自分で持って暴れてるような有様です。
ところで、本家(?)「遊星からの物体X」のクライマックスでは、
モンスターのストップモーション・アニメーションが大幅にカットされ、
一部のファンに残念がられました。
その欲求不満を解消してくれるつもりだったかどうかは分かりませんが、
本作のクライマックスに登場するタコ足モンスターのみ、
ストップモーション・アニメーションでカクカクと動きます。
でもカクカクし過ぎで違和感がもの凄いですが。
ギミックの操演とモデルアニメ、
どちらも昔ながらのローテクで作り物感大いにありますが、
そこがこの作品の最大の魅力になってますね。
でも、タコ足の触手が身体から飛び出して人を襲う特殊効果は、けっこう上手に見せてました。
作品全体としての印象は、楽しい手作りお化けの特撮を見るホラー映画ですね。
スポンサードリンク細部の粗は大目に見て
細部の展開や演出には詰めの甘さもありますが、
そこは大目に見たいところ。
例えば、途中現われる博士の扱いとか、消化不良気味。
明らかに何か鍵を握っていそうなのに、回収されず。
決め手になりそうな薬品を隠れて注射器に詰めたりしてたけど、
その注射器落っことしちゃって、結局何の薬品だったのか分からないし。
主人公が勝手にガソリンを撒いてロウソクで簡単な着火装置を作っただけなのに、
船内に「自爆まで残り○分」みたいな「エイリアン」的なアナウンスが流れるのも、
おふざけだとしたら、ちょっと半端ですね。
安っぽくもありつつ美味しい駄菓子の様なホラー映画
悪口言っちゃったので、ここからは良い点を。
先ずこの映画、お金はそこそこかかってますよ、多分。
全編、海洋と大型クルーザー内ロケですし。
セットも組んでるようですが、それはそれでお金かかるし。
役者も無名だけどインディーズ系作品のような素人ではないです。
あと、仲間が感染してお化けになって襲ってくるとかは、
ちょっと「死霊のはらわた」っぽくもありますね。
グロい見せ場もいっぱいありますし。
まあ、緊迫感は及びませんが。
「遊星からの物体Ⅹ」みたいな、
仲間が感染してモンスター化しているのかどうか分からない、
的な展開もちょっとだけ採り入れてましたよ。
ちょっとだけね。
半モンスター化した仲間に捕まり、カニバサミで殺されかかるシーンとかは、
けっこうちゃんとハラハラドキドキさせてくれました。
そんな多少粗いけど見せられ続けてしまう展開に、
手作り感オモチャ感満載な特撮の魅力も含めまして、
安いけど美味しい駄菓子の様なホラー映画ではないかな、
そう思いましたね。
私は好きです。
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