特殊メイクの変身が凄い!「ハウリング」

映画「ハウリング」「ハウリングⅡ」のイメージ画像 ホラー映画

 最新の特殊メイクを駆使して、クドい程変身シーンを見せまくり話題を呼んだ狼男映画「ハウリング」と、若干残念なその続編「ハウリングⅡ」。作品のトーンが大きく異なるこの2作品について、公開当時の思い出話など含めつつ解説します。
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テレビCMの変身場面に当時の子供はビックリ

 「ハウリング」は1981年に日本公開されたんですが、当時テレビで流された予告編に変身シーンの一部が含まれていて大変話題を呼びましたね。
 顔面の皮膚が不自然にピクピクと動いて、その後プカプカと膨れ上がるあたりのカットが流れたんですが、学校で「あれ、一体どうやって撮ったんだ?」という話題で盛り上がったのを思い出します。
 「あれは大変だよ、ちょっとずつメイクしては、1コマずつ撮ったんだぜ」
 なんて知ったかぶって言ってる友人もいましたが、映像の動きは滑らかで、そんなアニメーション手法で撮ったとはとても思えませんでした。
 まだ「特殊メイク」という言葉が巷に知られていなかった頃のお話です。

「月刊スクリーン」の特殊メイク特集で種明かし

 変身の撮影方法はすぐに判明しました。私が毎月買っていた「月刊スクリーン」で最新話題作の「特殊メイク」特集が組まれ、撮影方法が詳細に解説されていたんです。
 役者の顔を型取りし、本人そっくりのゴム製マスクを作って本人に被せ、顔とマスクの間に風船を入れてチューブで空気を送り込む。
 そんなことが可能なのか!と驚き、ホラー映画製作の面白さに興味が倍増しましたね。「特殊メイク」という言葉を私が知ったのもこの時です。
 そしてこの正解を友人たちの前で得意げに披露した時の気持ち良かったこと!皆が驚き、同時に「なるほど!」と納得していました。あの滑らかな動きはコマ撮りじゃ無理です。

画期的だった変身シーン

 それ以前狼男映画の変身シーンと言えば、ちょっとずつメイクしては撮影、を繰り返し、その映像をオーバーラップさせて重ねる、というやり方が長い間主流でした。他、変わり種としては、何本も並んだ柱の向こうを、役者が通り過ぎる度にちょっとずつ変身している、なんて演出で見せた作品もありました。
 そういう演出や合成処理でごまかさず、変身する様をモロに見せる、というのがこの作品「ハウリング」の売りでした。具体的には細かくカットを割って、役者に施した特殊メイクと複数のダミー人形を組み合わせ、変わりゆく様を段階的に合成無しで見せ切りました。
 なので変身にはもの凄く時間がかかり、「この間に逃げられるね」なんていう声も聞かれましたが。

特殊メイク担当はロブ・ボッティン

 特殊メイクを担当したのは当時弱冠21歳のロブ・ボッティン。当初は師匠であるリック・ベイカーに話が来たものの、同様に狼男への変身が見せ場の「狼男アメリカン」を控えていたため弟子のボッティンに任せたそう。ちなみにベイカーは「狼男アメリカン」でアカデミーメイクアップ賞の初代受賞者となりました。
 「ハウリング」の特殊メイクは、変身過程前半のアプライエンス(特殊メイク用のラバー製人工皮膚のピース)による風船プカプカが当時としては珍しく、なんか凄い!という印象でしたが、後半のダミーによる変貌は、ちょっと作り物っぽさを感じました。それでもメカ仕掛けのダミーヘッドなんて当時はやはり珍しく、そのぎこちない動きには不気味さもあって、変身シーンは劇中最大の見せ場となりました。
 翌年、水曜ロードショーで放映された際にはもちろんビデオに録画。変身シーンはしばらくの間、ベータのビデオテープで毎日日課のように繰り返し繰り返し観ていました。
 ちなみに公開前には「どうやら変身完了まで1カットで見せているらしい」なんて噂もありましたが、前述の「月刊スクリーン」の特集記事の中で監督がキッパリと否定してましたね。「1カットでは無理!」と。今の時代ならCG使えば余裕で出来ちゃいますね。

ホラー映画としても面白い!

 そんな変身シーンばかりが話題になった「ハウリング」ですが、ホラー映画としても構成と演出がしっかりしていて、見せ場の配分も良く、大変面白い作品に仕上がっています。
 謎を追って元凶に近付くに連れドラマは盛り上がり、良いタイミングであの変身シーン。その後もグロテスクな描写を含みつつ人狼の群れとの戦いに手に汗握り、衝撃のラストへ。
 今となってはクラシックですがモンスター映画ファンなら観ておくべき名作です。

続編は・・・

 ちなみに続編の「ハウリングⅡ」ですが・・・
 当時「ありゃりゃ、ずいぶん感じが変わっちゃったな」と思った記憶があります。
 キングビデオのブルーレイディスクの商品解説では「セックス・アイコンとして知られるシビル・ダニングが脱ぎまくる」だけが見所のような書き方をしていますね。今となってはそのシビル・ダニングさんも「誰なんだよ」と言われそうですが・・・。更に言えば、そんなに脱ぎまくってもいません。まあ、ずっと薄着ですが。
 そんなにつまらなくはないんですがね。構成が散漫な感じで少々盛り上がりに欠けます。作品のトーンも変わってしまいB級感が増してます。狼女が手からピカーッ!っと光線出したりしますから。
 前作で見せ場だった特殊メイクによる変身は「1作目でもう十分見たでしょ」って感じでクローズアップで短く見せてます。今の時代ならスピーディーだしそれもありなんですが、当時は「ハウリング」と言えば変身シーンでしたからね。物足りなかったです。
 ただドラキュラ伯爵・クリストファー・リーはやはり存在感あって格好良かったですね。顔と声が格調高くて。
 他、小っちゃいオモチャみたいなミニお化け蝙蝠とか、細かいとこ見るとけっこう楽しい要素もありますよ。
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