昨年(2024年)秋、
都内で公開25周年記念上映イベントが満員御礼で盛大に開催された、
伝説のSFホラー「ミートボールマシン」(1999年製作オリジナル版)。
そのシリーズ集大成とも言うべき最新作「HELLBOT ヘルボット」完成を前に、
原典である本作オリジナル版について解説します。
「ミートボールマシン 」
(MEATBALL MACHINE )
(1999年 日本 70分)
監督 山本淳一
※こちらはアメブロ「地獄のゾンビ劇場」旧レビューからの改訂・移行記事です。
スポンサードリンク「ミートボールマシン」ストーリー
冒頭、いきなり主人公の恋人が奇怪な金属質の物体に寄生されます。
苦しみもがきながら金属と同化してゆく恋人に、
なす術も無い主人公の青年。
そこへ同じように物体に寄生された化け物が現れ、
青年の目の前で恋人を惨殺。
やがて自らも寄生され化け物と化す青年でしたが、
必死で自我を保ち、
恋人の敵である化け物と壮絶なバトルを繰り広げます。
「ミートボールマシン」はこんな映画
もの凄い映画でした。
「ミートボールマシン」(2005年リメイク版)のオリジナル版。
原典。
原版は8ミリフィルム。
99年に中野武蔵野ホールにて劇場公開されています。
2014年に一度国内版DVD発売(廃盤)。
(DVDタイトル「ミートボールマシン オリジン」)
2006年、リメイク版公開。
「地獄甲子園」の山口雄大監督とオリジナル山本淳一監督、共同監督。
2017年にはシリーズ的作品「蠱毒 ミートボールマシン」(西村喜廣監督)公開。
塚本晋也監督の「鉄男」を想起させるこのオリジナル版「ミートボールマシン」。
「鉄男」と同じく中野武蔵野ホールで劇場公開されています。
これがどれだけ凄いことだったのか、
当時の自主映画製作者なら良く判る筈。
同じ自主製作とは言え「鉄男」は劇場公開可能な16ミリ映画。
それに対して「ミートボールマシン」は8ミリ映画です。
フィルムが小さく、今で言う画素数が圧倒的に少ない8ミリフィルムは、
大スクリーンでの上映が困難。
その昔、手塚真監督の「MOMENT」(1981年)が、
16ミリフィルムにブローアップ上映されて以来の快挙です。
デジタル世代の人には判らないと思いますが、
8ミリフィルムなんて、
例えば室内では十分な照明を焚いてしっかりライティングしないと、
何も画が写らないようなメディアだったんですよ。
それで劇場公開作品を製作するのがどれだけ凄いことか。
登場人物の人となりを前半で丁寧に描写していたリメイク版に対し、
こちらオリジナル版は冒頭からトップギア。
いきなり大事件のオープニングから、
そのまま70分間強烈なイメージの連打で見せ切ります。
全編普通じゃない状況。
普通の人もほとんど出てこないし。
作品自体が化け物じみてます。
この設定、この展開、このビジュアル、もの凄い発想力です。
インディーズフィルム史上屈指の独創性なのでは?
8ミリでよくここまでやったものだ、と感心しました。
高橋一生主演のリメイク版で見られた独創的なイメージの数々は、
このオリジナルの時点で既に完成されていたんですね。
「内職のようにしてたった一人で作り上げた着ぐるみ」とのことでしたが、
モンスターのコスチュームは大変凝った作りで素晴らしい出来栄え。
これ、手作りじゃ本当に大変だっただろうなあ。
コスチューム以外にも手がかかりまくってます。
全編特撮カットがギッシリ(VFXじゃないよ)。
徹底的に作り込まれたファンタスティックな映像の連続です。
アナログ手作りな特殊効果がとても楽しい。
「物体」が歩き回る描写などは、
ストップモーション・アニメで丁寧に処理されており、
不気味さではこちらの方がリメイク版より勝ってます。
体内の寄生生物もコマ撮りで、
「SFレーザーブラスト」のような風情がとても楽しいです。
(リメイク版ではマペット的な処理)
グロ描写も徹底してます。
全編血みどろ。
8ミリフィルムの粗い画質も、
この作品の凄まじい内容には合っている気がしました。
その画質ですが、それなりに数多くの8ミリ映画を観てきた者の意見としては、
テレシネの具合も良く、画は比較的綺麗だと感じました。
もちろん傷やチリの写り込みもありますが、それはフィルムの味です。
・・・と言うか、内容が凄過ぎて全く気になりませんでしたよ。
万人にお薦め!というわけではありませんが、
B級ホラー、スプラッター、B級アクション、ロボットものや特撮、コスチュームバトル等々、
これらジャンルのファンにとっては一見の価値あり、
いや、これは必見です!
町外れのうらぶれた景色の中で繰り広げられる、
異形の者たちのバトルロイヤルをじっくり堪能できました。
「ミートボールマシン」の進化形集大成「ヘルボット」
「最後は自分で締め括りたい」
「ミートボールマシン」生みの親、山本淳一監督はそう仰ってました。
忘れもしない、初めて会って一緒に飲みに行った晩に聞いた監督の心からの声。
リメイクに続編、
一流の人気映画作家たちがこぞって撮りたがった「ミートボールマシン」の世界。
それ程までに魅力的な設定、キャラクター、世界観を産み出したのは山本淳一監督。
間違いなく「ミートボールマシン」は山本淳一の作品なのです。
その山本監督が伝説の「ミートボールマシン」最終進化形としてついに製作を開始した、
「HELLBOT ヘルボット」!
マシンと生体の融合、果てしないバトル、
「ミートボールマシン」で描かれた世界を極限までグレードアップしたこの作品。
初稿を読んだ際の私の感想は、
「凄い!凄いけど・・・これ本当に出来るの!?」
でした。
だって凄まじいイマジネーションの嵐で、
とてつもない特撮量だったんですよ!
しかも、今なら当然デジタル処理に頼るであろうそれら限界イメージを、
またもや全てアナログ特撮で実現させるとのこと。
でも人間の潜在能力は無限です。
「想像出来る事は創造出来る!」
この作品、本筋のドラマ部分は既に撮影を完了しています!
現時点でも相当量の特殊造形、特撮映像を含みつつ。
でも、まだまだそんなもんじゃないんです!
ちょっとした映画1本分位の費用が掛かりそうなスケールの特撮映像を、
これからクリエイトしなければなりません。
完成すれば、ホラー映画界の新たな伝説となることでしょう。
その追加製作費用のためのクラウドファンディングを現在実施中です!
この記事で「ヘルボット」にご興味を持ってくださった方、
ぜひご支援、ご検討いただければ幸いです!
3千円から応援可能です!
何卒よろしくお願い申し上げます!
SF合体ロボット映画「HELLBOT ヘルボット」製作応援プロジェクト!
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