「レイダース 失われたゾンビ」
(RAIDERS OF THE LIVING DEAD)
(1986年 アメリカ 86分)
監督 サミュエル・M・シャーマン
80年代、ビデオバブルによるホラーブームの頃、
珍品ゾンビ映画の代表格的な扱いだった作品、
「レイダース 失われたゾンビ」
の見どころを紹介します!
「レイダース 失われたゾンビ」ストーリー
アメリカの田舎町。
おかしな博士が、
見た目物凄く簡単な装置で死人を甦らせます。
ゾンビの存在を知った主人公の新聞記者は、
以後、度々ゾンビに命をつけ狙われます。
また、もう一人の主役である少年はある日、
おじいちゃんのレーザーディスクを改造してレーザー銃を作ります。
なぜそんなことが出来るのか?
そもそも可能なの?
おじいちゃんのさりげない説明によると、
なんでもこの少年は、
とても成績優秀なのだそうです。
なるほど、成績優秀なら
レーザーディスクからレーザー銃くらい作れますね。
そしてついに記者の恋人がゾンビにさらわれます。
この場面、暗闇でゾンビ達の顔がフラッシュバックする、
何やらとってもシュールな映像が展開します。
延々数分間も続きますが、
どうやら意味はありません。
ちょっとやってみたかっただけのようです。
クライマックス、
記者と少年と少年のガールフレンド、
そしておじいちゃんの4人は、
レーザー銃と弓矢を武器に、
キチ○イ博士とゾンビの潜む島に乗り込みます。
「レイダース 失われたゾンビ」はこんな映画
大事なクライマックスの夜間シーンは全て擬似夜景(レンズに青フィルターかけて昼撮影)。
レーザービームはカリグラフ(映画フィルムを針で引っ掻いたキズの線)。
いずれも自主映画でよく見かけるやつ。
アマチュア臭が漂います。
クライマックスが全部薄暗くて、光線が全部手描きアニメだなんて・・・
ゾンビメイクはキッチリ青塗りタイプから、
アプライエンス(ラバー製の人工皮膚パーツ)装着、
「サンゲリア」っぽいフルフェイスマスク着用まで、
上手くはありませんが、基本をひと通りこなしてます。
着弾して吹き飛ぶゾンビの腕や、
ゾンビの頭部破裂、
燃え尽きながらも動き回るゾンビなど、
多少の見せ場もちゃんと用意。
ゾンビはのろのろ歩きの典型的なタイプです。
ただ、ゾンビの食人場面が一切無し。
ゾンビが人を殺す描写自体無し。
さすがに作り手側も、
「こりゃマズい」
と気付いたようで、
ゾンビの島へ乗り込むよう、
おじいちゃんから電話で依頼された助っ人が、
到着すると同時にゾンビ達に殺られる、
という、
一切主役らと絡まない、
明らかに付け足しの蛇足的エピソードがあります。
ただしこの場面でもゾンビは、助っ人を押し倒して押さえつけるだけ。
食べません。
食べてよ。
かようにこの作品のゾンビは、
人を襲ってどうしたいのかよく判りません。
そもそもキチ○イ博士が、
なぜ大勢のゾンビを飼っていたのかも全く不明なままです。
なので、
とぼけた感じだけど、笑いは無いからコメディではない。
ゾンビは襲って来るけど、恐くないからホラーでもない。
結果、子供向け冒険ゾンビ映画、
みたいな感じになっちゃいましたね。
珍品ゾンビ映画マニアにとっては、
このモヤモヤ感溢れる仕上がりが、
逆にお宝的要素だったりもするんですが・・・
オマケ~伝説のパリ国際ファンタスティック映画祭事件~
「レイダース 失われたゾンビ」の有名なエピソード。
パリ国際ファンタスティック映画祭で、
作品の出来のあまりの酷さに怒った(呆れた?)観客達が、
ゾンビのようにスクリーンに押し寄せた、
という事件。
これが日本版VHSジャケ裏の解説だと、
「衝撃的な内容にパリのファンが狂喜して舞台にかけ上がり、映画の中のゾンビと格闘を始めた」 となります。
事件を曲解して何とかビデオを売ろうした担当者の苦心の跡が見えます。
ちなみに1本1万4800円!
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